大阪で本町駅から徒歩5分にある乳腺外科クリニック

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新規開院につき1日5名様まで即日の乳がん検診が可能です
大阪市乳がん検診(超音波、マンモグラフィ)が可能です。

院長コラム

【No.14】乳がん患者様200名を診断して

みなさん、こんにちは。
有本乳腺外科クリニック本町院長の有本 裕一です。
2015年9月1日に開業して早2年8ヶ月目となり、累計9200名超の新規患者様にご来院頂くと共に、診断乳がん患者様が累計200名となりました。
最新の国立がんセンターの集計では、日本女性の11人に1人が乳がんになる時代となっています。
ここで、200名の乳がん患者様の背景(年齢分布(平均年齢)、主訴、発生部位、組織型、進行度(ステージ)、乳がんのサブタイプ、来院経路)を分析し、紹介施設をご紹介したいと思います。

【前期100名 / 後期100名】
① 年齢分布
・20代 : 6名 / 3名(最年少:25歳 / 23歳)= 9名
・30代 :20名 / 27名(35歳以下⇒11名 / 16名、36歳以上⇒9名 / 11名)
・40代 :36名 / 30名=66名  =27名       =20名 / 計47名
・50代 :26名 / 28名=54名
・60代 : 9名 / 9名(内、男性1名(60歳))=18名
・70代 : 3名 / 2名= 5名
・80代 : 0名 / 1名(最年長:80歳)= 1名
平均年齢:46.5歳 / 46.1歳

② 主訴(重複あり)
・しこり :82名 / 65名=147名
・痛み :24名 / 25名= 49名
・検診 :11名 / 15名= 26名
・乳頭分泌 : 6名 / 9名= 15名
・違和感 : 2名 / 3名= 5名

③ 発生部位(重複あり)
・A領域(乳房内側上方) :29名 / 28名= 57名
・B領域(乳房内側下方) :14名 / 17名= 31名
・C領域(乳房外側上方) :55名 / 50名=105名
・D領域(乳房外側下方) :15名 / 28名= 43名
・E領域(乳頭部)   : 4名 / 3名= 7名

④ 組織型
・DCIS(非浸潤性乳管癌) :13名 / 15名= 28名
・IDC(浸潤性乳管癌) :70名 / 65名=135名
・IC or DC(浸潤癌 or 乳管癌) : 4名 / 8名= 12名 / 147名
・ILC(浸潤性小葉癌) : 3名 / 5名= 8名
・粘液癌 : 5名 / 4名= 9名
・化生癌 : 2名 / 1名= 3名
・アポクリン癌 : 1名 / 1名= 2名
・ADH(異型性乳管過形成) : 1名 / 0名= 1名
・不明 : 1名 / 0名= 1名

⑤ 進行度(ステージ)
・0期  :13名 / 15名= 28名
・I期  :49名 / 61名=110名
・II期  :34名 / 20名= 54名
・III期 : 1名 / 4名= 5名
・IV期 : 1名 / 0名= 1名
・不明 : 2名 / 0名= 2名

⑥ 乳がんのサブタイプ
・ルミナールAタイプ   :34名 / 42名=76名
・ルミナールBタイプ   :31名 / 26名(内、HER2陽性:4名 / 7名)
=57名           =11名
・HER2陽性       : 7名 / 7名=14名
・トリプルネガティブ   :17名 / 9名=26名
その他、
・DCIS(非浸潤性乳管癌) :13名 / 15名=28名
・ADH(異型性乳管過形成): 1名 / 0名= 1名
・不明          : 1名(数mmの腫瘍の生検で乳がんと判明)

⑦ 来院経路
・ネット検索     :84名 / 85名=169名
・乳がん検診     : 8名 / 1名= 9名
・医療機関からの紹介 : 5名 / 11名=16名
・知人からの紹介   : 3名 / 3名= 6名

⑧ 紹介施設
1) 住友病院 :54名
(登録医師として、すでに15名の紹介患者様の手術に参加しています)
2) 大阪市立総合医療センター              :37名
3) 大阪国際がんセンター                :31名
4) 大阪市立大学医学部附属病院 :29名
5) 北野病院 : 7名
6) 国立病院機構大阪医療センター : 6名
7) 大阪ブレストクリニック: : 5名
8) 大野記念病院、関西医大附属病院 : 3名
10) 大阪大学医学部附属病院、兵庫医大附属病院 : 2名
12) 府中病院、京都大学医学部附属病院、大手前病院、
JCHO大阪病院、日生病院、大阪労災病院、
済生会吹田病院、山口大附属病院、ベルランド病院
神鋼記念病院、市立貝塚病院、天理よろづ相談所病院、
兵庫県立がんセンター、福井県立中央病院、八尾市立病院、
香川県立中央病院、京都府立医大附属病院、宮崎病院、
加古川医療センター、松下記念病院、ハズクリニック : 1名

以上のように、

●年齢分布では、40代が最も多く、次いで50代、30代となっています。

35歳以下の若年発症患者様も36名と多く発見されています。また、20代でも9名の患者様が、70歳を過ぎても6名の患者様が発見されていますので、“私はまだ若いから大丈夫”とか、“私はもう年だから大丈夫”という根拠のない考えは捨てましょう。どのような年代でもなる“がん”だという事を忘れてはいけません。

若いうちから、また年をとっても乳がん検診は必ず受けるようにしましょう!

●主訴としては、「しこり」を自覚して来院された方が7割を超えていました。

それに伴う「痛み」も2割以上の方が感じておられ、“乳癌と痛みは特殊な乳がん(炎症性乳癌)以外では関係ない”とはいうものの、やはりしこりがあり、そのしこりが大きくなる時の成長痛(圧排痛)は結構患者様が感じられていることが伺えます。

また、乳頭分泌でも、片側性で血性分泌の場合は要注意であると考えられます。

●発生部位は、成書に記載されている通り、C領域(乳房外側上方)が約半数を占めました。自己触診では、特にこの部位(乳房外側上方)を慎重に触診する必要があります。

 

●乳がんの組織型では、やはり浸潤癌(IDC+ILC+IC+DC)が155名と約8割を占めていました。非浸潤癌は28名と1割強でした。非浸潤癌で発見されるよう日頃からの検診が重要と考えられます。

●乳がんの進行度(ステージ)は、腫瘍の大きさが2cm以下でリンパ節転移のないステージ Iが110名と約半数を占め、大きさが5cm未満で腋窩リンパ節転移のあるステージ IIが54名でした。

残念ながら発見時に遠隔転移のあったステージ IVが1名おられましたが、抗癌剤投与にて平穏な日常生活を送られています。また、50歳代の患者様で、1月に発見時にはステージ IIAであったのですが、紹介病院を受診後、手術を拒否され放置していたところ、5月には皮膚浸潤を伴うステージ IIIBの進行乳癌となった方がおられました。

更に、30歳代前半の患者様で、発見時にはステージ Iであったのですが、組織型が“化生癌”という進行の速いタイプであったため、紹介病院で手術待機中に急速増大し、緊急手術になった方もおられました。
乳がんは比較的おとなしい癌ですが、放置すると取り返しがつかない状況になることもありますし、組織型によっては早急に対応しなければならないタイプもありますので、専門医の指示に従いきっちりと加療していく事が必要です。

 

●発見された乳癌のサブタイプでは、予後のよいDCIS(非浸潤性乳管癌)が28名、ルミナールAタイプが76名と両者で約半数を占めています。早期発見が重要であることがうかがえます。

●来院経路としては、ネット検索が169名と最も多く、自覚症状があったり検診で要精査となり、ネットで乳腺外科を検索し当院を選択頂いたことになります。既存の大阪の乳腺外科は既に患者様が飽和状態になっているところも多いようで、当日を含め数日以内に予約が取れ、基本当日に結果をご説明する当院が選ばれているのだと思います。針生検などの精密検査も当日に行いますので、迅速な結果報告が可能です。

ただその分、ご予約頂いた患者様をかなりの時間お待たせすることにもなり、心苦しい限りです。その対策案として、昨年4月から最新の超音波装置をもう一台稼働させ、カウンセリング室で超音波検査と画像説明が出来るようにし、効率よく患者様に対応することで、待ち時間を軽減しています。

 

●紹介施設は患者様の要望に沿って、自宅や勤務先から近い病院を中心に紹介しています。“どこがいいか分からない”という患者様には、主治医の「顔」が見える“お勧めの病院”を紹介しています。

自分から希望されて行かれた病院でも、主治医と折りが合わずに変更されたり、思い描いていた印象と異なるため変更される患者様が少数ですがおられるのが現状です。出来る限り1度目で納得できる病院を紹介すべく努力しています。

当院では、乳がん検診の超音波検査時に必ず甲状腺もチェックするように心がけています。これは前任の病院で統計を取ったところ、100名の乳がん検診超音波検査時に甲状腺をチェックすることにより、約2名の甲状腺腫瘍患者様が発見されたからです。

実際に当院でも、開院後2年半で41名の甲状腺癌患者様を診断し、専門病院に紹介させて頂いています。また、甲状腺超音波検査時に甲状腺腫大や甲状腺内部輝度異常などにより、甲状腺機能障害が疑われた患者様に対して甲状腺機能検査(採血で甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン値をチェックする)を実施しています。

これまでに多数の甲状腺機能障害患者様が発見され治療に移行しています。このように、甲状腺検査は一般の健診には含まれておらず、わざわざ検査するものでもないため、腫瘍や機能異常が見逃されている可能性があります。この機会に、是非当院で乳がん検診のついでに甲状腺もチェックされては如何でしょうか。

 

患者様に優しく、親身になって、職員全員で対応することを当院のモットーとしております。現在のところこれを実践できているものと自負しています。

これからも全ての女性の“乳腺の主治医”としてお役に立てるよう、益々日々精進して参ります。お気づきの点がありましたら何なりとおっしゃってくださいね。
今後とも当クリニックを宜しくお願い致します。

2018.4.21
有本乳腺外科クリニック本町
有本 裕一