Thyroid-disease
女性に多い甲状腺疾患
女性に多い
甲状腺疾患
女性特有の甲状腺異常、早期発見が大切です
甲状腺疾患とは
甲状腺は重要なホルモンを作り、分泌する臓器です。甲状腺ホルモンの異常は全身にさまざまな症状を引き起こし、「いつも調子が悪い」と感じることがありますが、その原因が分からずそのままになってしまう場合が多くあります。特に女性、特に20代から50代の女性に多く見られます。なぜ女性に多いのかは明確ではありませんが、バセドウ病や橋本病などの甲状腺の病気は、甲状腺自己抗体による自己免疫疾患です。一般的に、自己免疫疾患は女性に多いことが知られています。
こんなお悩みは
ございませんか?
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- 脈が早い・脈が遅い
- イライラする
- 眼球が出てくる
- 体重が急に減った
- 眠れない
- 疲れやすい
- 手指がふるえる
- 微熱が続く
- 軟便
- むくみがあり寒がりである
- 筋力低下
- 便秘
- 月経過少・無月経
- 体重が増える
- 脱力感
- 月経過多・月経不順
- 物忘れや無気力
甲状腺疾患の種類
甲状腺は約15gの小さな臓器ですが、多くの病気が発生します。バセドウ病や橋本病が有名ですが、他にも様々な病気があります。
甲状腺の病気は、大きく3つのタイプに分類されます。
甲状腺機能が亢進する病気
甲状腺の機能に関する病気の一つに、「甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症)」があります。これは血液中の甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態で、全身の新陳代謝が過剰に活発になります。具体的には、脈が速くなる、体重が減少する、手指が震える、多汗症などの症状が現れます。
代表的な病気としては、バセドウ病がありますが、無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎などもあります。無痛性甲状腺炎は名前の通り痛みが伴いませんが、亜急性甲状腺炎は高熱や痛みを伴い、ウイルス感染が原因とされる別のタイプの病気です。
さらに、妊娠中には胎盤を形成するためのホルモン(hCG)が甲状腺を刺激し、一時的に甲状腺機能が高くなる「妊娠性甲状腺機能亢進症」もあります。
甲状腺機能が低下する病気
甲状腺機能亢進症とは逆に、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなるのが「甲状腺機能低下症」です。全身の代謝や臓器の働きが弱まり、無気力で疲れやすい、まぶたがむくむ、寒がりになり体重が増える、動きがにぶい、記憶力が低下する、便秘、声がかすれるなど、甲状腺機能亢進症とは正反対の症状があらわれます。
代表的な病気は橋本病(慢性甲状腺炎)で、ほかに特発性粘液水腫(とくはつせいねんえきすいしゅ)などがあります。
検査について
血液検査で甲状腺刺激ホルモン(TSH)と実際に作用を示す遊離型甲状腺ホルモン(FT4、FT3)を測定します。
女性に多い主な甲状腺疾患
①バセドウ病
(甲状腺機能亢進症)
甲状腺機能亢進症の代表的な病気として挙げられるのは、「バセドウ病」です。この病気は主に20~30代の女性に見られ、遺伝的要因やストレスなどの外的要因が発病に関与していると考えられています。具体的な病因は、甲状腺を異常に刺激する自己抗体(TSH受容体抗体)が何らかの原因で生成され、甲状腺を過剰に刺激し続けることによって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「自己免疫疾患」とされています。
- 症状について
- この病気の特徴的な症状は、甲状腺の腫れ、眼球の突出、頻脈ですが、食欲旺盛なのに痩せる、心臓がドキドキする、手指がふるえる、暑がりになる、異様に汗をかくなど、病気が進行するにつれてさまざまな症状が現れます。疲れやすい、神経過敏になりイライラするなどの情緒不安定もバセドウ病に特有の症状ですが、病気自体を自覚していない人も多いため、周囲の理解を得るのが難しいことがあります。
- 治療方法
- この病気の治療方法には、抗甲状腺薬の内服治療、甲状腺の一部または全部を切除する手術(減量手術)、そして放射性ヨウ素を用いたアイソトープ療法があります。それぞれの治療法には長所と短所があります。この病気は完治しない病気ではありませんから、体の不調を自覚した際は、早めに受診し、適切な治療を受けることが大切です。
②橋本病(別名:慢性甲状腺炎)
甲状腺機能低下症を引き起こす代表的な病気としては、「橋本病」があります。橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気で、発症する人の90%以上が女性であり、特に40~50代の女性に多いとされていますが、若い女性でも見られます。この病気の原因は、バセドウ病と同様に自己免疫疾患であると考えられています。(甲状腺に障害を与える自己抗体(抗Tg抗体・抗TPO抗体)が出現し、甲状腺細胞が炎症を起こし、破壊されることにより甲状腺ホルモンが低下します。)
- 症状について
- 主な症状としては、全体的な甲状腺の腫れと機能低下に伴う症状です。
橋本病は、ゆっくりと進行するため、病気に気づかず過ごす人が多いようです。
しかし、早期に治療すれば重症になることはありません。 - 治療方法
- 甲状腺の機能低下が認められなければ治療はせず、一年に数回、検査を受け、経過を見守ります。すでに機能低下している場合には、甲状腺ホルモン剤を継続的に補充します。
妊娠希望の方や妊娠中の方を除き、一般的にはTSH (甲状腺刺激ホルモン)10μU/ml以上の時が治療開始の目安です。
出産後の2~4か月くらいの間に、甲状腺組織が破壊されて甲状腺ホルモンが血液中に漏出し一時的にホルモンの増加をきたす、無痛性甲状腺炎を合併することがありますので、御注意ください。
橋本病の方の甲状腺腫が急速に腫大したり、しこりが新たに出現した場合には悪性リンパ腫の合併の可能性があり、早めの受診をお勧めします。
③結節性甲状腺腫
結節性甲状腺腫とは、甲状腺にできるしこりや腫瘤のことです。これには良性と悪性の両方があります。超音波検査(エコー)によってほとんどの場合、良性か悪性かを判断しますが、より確実な評価のためには針生検を行ったり、CTやMRIの検査を行うこともあります。
- 症状について
- 甲状腺には良性腫瘍である[腺腫][嚢胞][腺腫様甲状腺腫]、悪性の腫瘍である[がん][悪性リンパ腫]など、甲状腺に形成されるさまざまな腫瘍を総称して[結節性甲状腺腫]と呼びます。これらの腫瘍は主にしこりの形成が特徴で、他の自覚症状はほとんどありません。約80%は良性であり、通常は定期的な検査と経過観察で問題ありません。しこりが大きい場合には、甲状腺ホルモンの服用や針を使った嚢胞液抜去、または手術が考慮されることがあります。悪性腫瘍の場合でも、多くは成長が遅い[乳頭がん]であり、早期に手術治療を行えば完治可能です。(1㎝以下の場合は、手術せずに〝積極的経過観察″を行います。)ただし、高齢者に見られる[未分化がん]では進行が速く、予後が悪い傾向にあります。
- 検査方法
- しこりが発見された場合、まず超音波検査を行い、腫瘍の状態を評価します。腫瘍の大きさに応じて経過観察することもありますが、甲状腺穿刺吸引細胞診という方法で針を使って細胞を採取し、顕微鏡で詳細に調べることもあります。この検査は外来で簡便に行え、患者の苦痛はほとんどありません。
乳腺エコー時に、甲状腺の異常を見つける場合も
当院では乳腺エコー検査時には、首元まで検査を行います。その際、甲状腺の異常を発見することがあります。過去には、前任施設で100名の乳腺エコー時に甲状腺を検索すると2名の甲状腺腫瘍性病変が発見されたこともありました。
中には乳がん検診に来られ、乳腺には全く異常はなかったが甲状腺癌が発見されたという方もいます(4名 / 8か月間)。
甲状腺は何か症状や異常がないと余り検索しない臓器です。一度、エコーでチェックしておけば安心できますので、お気軽にご来院ください。
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